岬ちゃん早く来てくれ!

学校出てから十余年、今じゃワープア低賃金。

Dead Spaceをクリア

 Dead Spaceと言うと日本の倫理チェックをクリアできないほど残酷な表現で話題になったゲームだ。その話を聞いた時、私は国内ゲーム産業保護のためなんじゃないのと疑ったものだ。

 ゴア表現が話題になるだけあってともかくグロい。主人公アイザックさんは四肢欠損に胴体の輪切り、首が千切れ飛ぶなどの実に多彩な死に方を見せてくれる。

 四肢欠損が単なるグロ趣味にとどまらないのも今作の特徴である。プレーヤーが相手をする敵・ネクロモーフは死体に寄生するエイリアンなのだが、彼らの弱点は腕や足、触手となっている。通常この手のシューティングゲームでは頭を撃つことで大ダメージとなるものだ。しかしこのゲームでは手足が弱点とされている。足を撃ち切れば移動力が、腕を撃ち落とせば攻撃力がダウンするのだ。従って本作ではエイリアンの足を撃ち切って足止めした後、腕を撃ってとどめを刺すのがセオリーとなる。なお、ヘッドショットで頭を潰すことで敵が一瞬こちらを見失うのだが、銃声を聞きつけてすぐに見つかるので積極的に狙う理由はない。

 Dead Spaceの舞台となる宇宙船イシムラにはエイリアンに襲われた船員の遺体が各所に散らばっている。ネクロモーフは彼らに寄生して動き出す為、後々のために死体の手足をバラバラにしていく作業が課せられる。

 

 さてこのゲーム、初めて遊んだ時は本当に怖かった。ネクロモーフは奇怪な姿をしており、気味の悪い動きでプレイヤーに近づいてくる。そして宇宙船の中は視界と行動範囲が制限される狭い場所が多く、ネクロモーフは神出鬼没だからだ。と、これだけでは足りない。神出鬼没なだけだと怖くない。大事なのは彼我の能力差なのだ。

 乏しい弾薬と少ない回復アイテムしか持たない序盤は被ダメージのリスクが大きい。とっさの敵に対応するため私は武器を構えながらゆっくりゆっくり歩くチキンプレイで進めていたものだ。

 シチュエーションも良い。ネクロモーフは廊下の奥に立っていたりダクトを突き破るなど定番の現れ方の他にも凝った出現シーンが盛り込まれている。移動足場で強制移動していると到着地点にたむろしていたり、エレベーターに乗っていたら上から降ってきたりとだ。私が一番気に入ったのは「昇降リフトを呼び寄せるとネクロモーフが一緒にやってきた」なんて登場の仕方だ。

 また中盤以降何度か登場する不死身のネクロモーフとの戦闘は良く出来ている。特別な対処法に気づくまで徐々に減っていく弾薬を気にしながら逃げ惑う場面は恐怖心を煽ってくる。

 宇宙船内という設定を利用した各機関室や無重力・真空状態などの場面も存在する。特に真空状態は音が聞こえないため、うめき声や足音・ダクトを壊す音などネクロモーフの気配を感じ取ることができず、知らぬ間に背後を取られるという怖さがあって非常に良かった。

 しかしまあ怖いのはせいぜい中盤までだった。ゲームを進めるとともにアイザックさんの武器・装甲はどんどんパワーアップしていき、回復アイテムや弾薬は余り出すのだが、敵の強さはそれに追いつかないからだ。

 さらにそこかしこにあるセーブポイントと頻繁なチェックポイントのおかげで死ぬ事のデメリットがさほど無いのが怖さを薄れさせてしまう。死んでもすぐにやり直せると気づいた後半以降、最初の頃の警戒心はどこかに行ってしまっていた。

 

 ストーリーはいい具合にミスリードを誘うようになっている。終盤に謎が明かされた後、NPCとの会話など所々で感じていた違和感の正体に気づく良い内容だ。

 

 典型的な一回ゲーながら1周がそれなりに長いのでボリュームに不満はなく、そつなくまとまった面白いゲーム。

 

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 なんでもない通路でも銃を構えて進むチキンプレイのアイザックさんの図。